シンデレラ夢物語

パンプキンタケダの シンデレラ夢物語
シンデレラ夢まつりの実行委員になってから
かぼちゃづくりをはじめてから
いろいろな出来事が起こりはじめました
これはまさしく
シンデレラ夢物語です

目次

第1話「そんな町あるの?」
第2話「中華まな板」
第3話「おーい水」
第4話「悪夢の出来事 PartT」
第5話「悪夢の出来事 PartU」
第6話「温泉旅行抽選会」
第7話「行ってきました
     第15回おお〜いでっかいどうかぼちゃ大会」
第8話「65%」
第9話「興奮いまだ冷めやらず」 2005.11.26UP

第1話「そんな町あるの?」
   
タケダはシンデレラ夢まつりの実行委員で、ジャンボかぼちゃ重量コンテスト(パンプキンコンテスト)担当の「かぼちゃ班」班長になって5年になる。
夢まつり当日は、ジャンボかぼちゃが北海道各地から100個以上集まってきます。
コンテストの受付は朝のうちに終了して計測も行いますが、重量のベスト10のかぼちゃは、12時からシンデレラ城のメインステージ前で本選計測を行います。
タケダはこのベスト10計測の司会進行です。そして、必ず、かぼちゃ班の女性一人にアシスタントになってもらい、コンテストの雰囲気を醸し出すようにしています。
 
それは、数年前のパンプキンコンテストでの出来事です。
秋の到来を告げるような清々しい風の中、ステージの上に立つタケダの気分は アナウンサー。
そして隣には、さっきまで受付をやっていた女性アシスタント。
一応タケダも「しゃべり」のシナリオを頭の中で考えておくのですが、アシスタント には、練習する時間もないので無理をかけてはいけないと、簡単な受け答えのストーリーで、あくまでもタケダのペースで進行できるように考えて臨みます。
タケダ 「こんにちはー。今年もパンプキンコンテストがやってきました。」
     「○○さん。本当にいい天気になりましたねえ。」
アシスタント「本当に・・・青空に吸い込まれそうです・・・・」
タケダ   「そして、ことしも ほら こんなにたくさん集まりましたよ。
        ジャンボかぼちゃが・・・・・」
アシスタント「大きいの・・・ありますねえ〜〜」
てな具合に進んでいくのですが、その後、思いがけないトークとなったのです。
タケダ  「ねえ〜すごいですよ。一番遠くから持ってきた方はどこから
       来たかわかりますか?」
と、聞いたら・・・・(受付で住所を記入していたアシスタントが・・・)
アシスタント「 ヒップ 町ですか?」 
タケダ  「えーーー ヒ・ヒ・ヒップ町・・・・・・」
          (心の中は冷や汗、冷や汗・・・)
      (おしりを指差して)「ヒップって、このヒップ・・・」
      (どーしよう。どーやってフォローしよう。)
      「もしかして、比布(ぴっぷ)町のことですか・・・・」
アシスタント「あー、あれって ぴっぷ町って言うんですか?」
タケダ  「失礼ですよねえ。比布町からお越しのみなさん。
       本当にすみません」
      「出来の悪いアシスタントで・・・・」
考えていたシナリオとちがって、予想外の展開になって、素人のタケダはもう しどろもどろ・・・・
自分で思い描いていた、アナウンサーのシンデレラ夢物語は「ヒップ」の一言で砂上の城が崩れるように、粉々に崩れ落ちてしまった・・・・
 
夢まつりが終わっても、どうしても「ヒップ」が頭から離れなかった。
そして、次に疑問が湧いてきた。
「あれは、ボケだったのか、それとも本当に比布町をヒップ町だと思っていたのか・・・・」
ボケだとしたら、すごいセンスの持ち主の女性だなあ・・・なんて感心したりして。
冷たい季節風が雪を運んでくるような時期となり、そんなこと忘れかけていた時彼女の職場へ出かける機会があった。そして、偶然にもばったり彼女に会った。
タケダはすぐに「ヒップ」のことを思い出し、その疑問を聞いてみた。
結果は、本当にヒップ町だと思っていたんだって・・・・・・・・・
北海道のまちの名前ぐらい覚えてろーーーってタケダは言いたかった。
 
 
第2話「中華まな板」
  
それは佐呂間町が記念すべき開基100年を迎えた平成6年。
シンデレラ夢94まつりを翌々日にした、魔の金曜日の夜の話である。
その年、タケダは「テーマ94班」班長で、シンデレラ城のステージ前で、かぼちゃにエビ、ホタテなどサロマの旬の食材を使った中華料理の実演ショーをやろうという企画だった。
演じてもらうのは札幌在住の中華一筋47年。中華の巨匠上原龍登先生。
「北の鉄人 龍さんの 元気が出る中華料理」と題して、大きな中華なべいっぱいの食材を天高く振り上げて、なべから火がボウッと上がったりして・・・タケダの夢も膨らんだ。
 
そんな準備をしていた金曜日の夜、龍先生から当日使用する器材が職場へ 届いた。早速先生に電話を入れた。
タケダ「先生、荷物届きました。ダンボール二つ。」
龍先生「二つ?3つ送ったんですが・・・」
タケダ「いえ、確かに大きな同じ大きさのダンボール箱二つだけで・・・」
龍先生「小さいのありませんか?小さいけど重たい箱です。」
タケダ「ありませんが・・・・・ところで先生、その箱には何が入っているんですか?」
龍先生「困ったなあ〜、まな板なんですよ。中華まな板。」
    「中華まな板がなければ、料理できませんよ。」
 
その時知ったのですが、中華まな板って、直径50cm、高さ20cmほどの白いプラスチック製の円柱形で、中華料理の象徴なのである。
タケダは早速、伝票番号を聞いて運送会社に問い合わせたところ、道内の誤配はコンピュータに入力されておらず、飛行機に乗せられて本州に渡ったようで、どこに届くかは明日の朝でなければ分からない。それから送り返しても、まつりには間に合いそうもないとの回答。
冗談じゃないゼ!土曜日にも仕込みで使うって言ってるのに、シンデレラ夢まつりはどうするんだ!
タケダは受話器を握ったまま言葉がなく「・・・・・・・・・・・・」
運送会社の女性も「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」沈黙はしばらく続いた。
これは夢ではないか?と思ったが、そんな訳はなく、一度電話を切って対応を考えた。
「今すぐタウンページで中華まな板を探す。あったら、会社の負担で購入して明日の午前中に届けてほしい。」数度の電話の末、了承となり、食材店に電話をかけまくり中華まな板を探した。
すると、札幌の店に一つだけあった。よかったぁ〜〜
「生き返ったような心境とはこのことだ」と思った。
 
文章に書けばこれだけのことだが、実際には2時間ほどのやり取りがあった。
札幌で手に入った中華まな板は、無事土曜日の朝に届き、仕込みも順調にできた。
そして、日曜日の朝、飛行機に乗って「東京北営業所」まで旅をしてきた龍先生の中華まな板もサロマへ届いた。
 
当日の天気も良く、「屋外での中華料理実演ショー」のシンデレラ夢物語は、ちょっと寄り道をしたものの順調に話が進んでいるように思えた。
この時は・・・・・・
 
第3話「おーい水」
  
屋外の料理実演ということで、天気そして風を心配していたが、 無事中華まな板が届いた安堵感のような穏やかな天候で、「北の鉄人 龍さんの元気が出る中華料理実演ショー」は始まった。
タケダはその進行役で、鉄火シャツに日本料理帽、足にはセッタと料理人を装っての登場で、観客の中からは「あの人も札幌から来たのかい?」の声にその気になって・・・
先生とタケダの前には数百人の観衆。
 
前段のトークもうまく進み、準備万端、そして、先生がダブルコックの大きなゴトクに火をつけた。
ところが、ところがである、カチ、カチ・・・ガスがつかないのである。
うっそ〜ぉ・・・ガス入ってるって・・・・なんでョ・・・・
観衆はざわつき、タケダは冷や汗・・・何度やってもつかないのである。
すったもんだやっているうちに、ひとつのボンベから大きなゴトク2台にガスを引いていたので、圧が足りなかったのが原因とわかり、ボンベをもう1本もって来て、火はついた。タケダは胸をなで下ろした・・・
 
しかし、冷や汗をぬぐう間もなく、今度は先生が「水はどこですか?」
み・みずぅ・・・・(心の中で・・聞いてないってー、あれだけ細かく打ち合わせしてたのに・・・・・)だけど、そんな事は先生に言えるはずもなく、タケダは、隅で待機していた班員に小声で「おーい、水! 水もって来てくれー」
うなずいた班員はすぐに走っていった。
しかし、待てど暮らせど水は来ない。
 
(心の中で・・・何やってんのヨ!バカヤロー。蛇口なら、その入口にあるベョー)
先生も「牛乳で済ませましょうか・・・」と、しびれを切らしてオタマをトントンたたいている。
タケダ「い、いや、今来ますから・・」冷や汗・冷や汗・・・そして、つなぎのトークー・・・
少しして、小走りの足音が聞こえてきて、やっと来たかぁ・・と振り向いたら
実行委員の悦ちゃんが、手にコップを持って息を切らしながら「ハッ、ハイ、水」
タケダの息は止まった。そして、
「だ・れ・がコップに水もってこいって言ったのよ!!」
顔全部が口になったような表情で思わず怒鳴ってしまった・・・・
「料理に使う、オタマですくえる、ボールに入った水だって!!」
今度はすぐに、別の実行委員が走って持ってきた。
タケダは料理に使う水を頼んだのだが、受けた方は先生の喉を潤す水だと思い込んでいたのである。
 
その後は、何もなく進んだ。300食ほど用意した試食料理もあっという間に無くなるほどの人気だった。結果としては大成功だった。
 
「おーい水」ではどんな水が来るかは分からない。
どんな状況であれ、目的は相手にきちんと伝えるべきだと肝に銘じた。
中華まな板を東京まで送った運送会社と同じく、タケダ自身も、シンデレラ夢94まつりを教訓に「一歩前へ」踏み出した気がした。
 
 
第4話「悪夢の出来事 PartT」
  
ミレニアム2000年10月19日。サロマでもちょっと早い本格的な雪に誰もがびっくりしている中、東京のフジテレビからカボチャの取材でディレクターとレポーターがサロマへやってきた。
世界のかぼちゃの紹介と今年タケダの作った120kgのかぼちゃ、そしてサロマの料理研究家さくらうめこ先生のかぼちゃ料理の紹介といった構成で、世界のかぼちゃの紹介でタケダも出演するといったおまけ付き。
 
撮影当日。前日の雪模様の天候とは打って変わって、吸い込まれそうな青空が広がって、タケダの気持ちも「夢に一歩近づいた」といったところ・・・
空を見上げながら大きく深呼吸。まるで芸能人になったような気分。
気持ちも高まり、撮影場所までの移動のワゴン車の中でフジの二人と打ち合わせをしながら撮影現場へついたその時、事件は起きた。
 
ワゴン車を運転する同僚の携帯が鳴った。
かぼちゃを積んだトラックを運転して後からついて来ている同僚からだった。
運転手「なにぃ?かぼちゃが割れた?」
タケダ「どの、どのかぼちゃが割れたの?」
運転手「大きいの?タケダさんの120kgのやつ?」
タケダ「うっ、うっそ〜おー。冗談でしょ。夢みたいなこと言わないでよ・・・」
    「これからの取材どーするの?」
 
それから少しして、トラックが着いて、荷台の上で真っ二つに割れたかぼちゃを自分の目で見て、夢じゃない現実に深い衝撃を受けた。
「すみませ〜ん」の平謝りの今にも泣き出しそうな同僚の顔を見て、
「おまえ悪くないって。気がつかなかった俺が悪いんだから気にするなって・・・」
タケダもそう言うのが精一杯だった。
 
体の中から何かがスーっと抜けていくのがわかった。
自慢のかぼちゃの前で最高の笑顔で撮影に臨むはずだったのに・・・・
タケダのショックはちょっとだけ大きかった・・・・・・
結局、40kgほどのかぼちゃを見つけてきて、その横に割れたタケダのかぼちゃも置いてもらって、タケダの部の撮影は意外とあっけなく終わった。
 
その後は、うめこ先生宅での料理撮影。
うめこ先生のプロ並みに上手なトークには、タケダも脱帽・・・・
うめこ先生宅のリビングから見えるモミジの木の紅葉がグッと深まったように見えたのは夕焼けをバックに見たからだけだったのだろうか。
 
木枯らしが似合うシンデレラ夢物語。
「おまえの人生を物語っているようだ」と言ったのは、フジテレビに紹介してあげたい両津課長。
だけど、いいんだ・・・
美人のレポーターの黒住さんと話ができて、ツーショットで写真が撮れたんだから・・・・
ちなみにテレビ放映は10月30日。関東地区だけで、北海道では見れないということなので放映のビデオテープを送ってもらう約束をしました。
今は、早くビデオを見たいような、見るのが恐いような・・・・・そんな気持ちです。
 
 
第5話「悪夢の出来事 PartU」
  
シンデレラ夢2000まつりパンプキンコンテストで、佐呂間町内の新記録となる120kgでサロマ町民大賞を受賞した、タケダがつくった夢のかぼちゃ。
フジテレビの撮影前に真っ二つに割れてしまった、悲劇のヒーローかぼちゃだが、割れ口から見えた種が大きくていい種だったので、ショックから立ち直る意味でも、絶対に種を採って、来年はいつもより早く種を蒔いて早く大きくしようと、タケダの思いはもう来年の挑戦。
種は父さんが採っておいてくれて、小屋の中に干しておいてくれていた。
 
そして、文化の日の11月3日。
タケダは来年かぼちゃを作る畑に、朝から堆肥を撒いて、肥料を入れて「苦労しないと、本当の喜びはないよなぁ」なんて、来年の夢を思い描いて額の汗をぬぐうのにも充実感に満ちあふれていた。
そして、干してあった種を片づけようと小屋へ行ってみたのだが、何処にもかぼちゃの種が見当たらない。
タケダ「父さん!かぼちゃの種、何処に持ってたのさ?」
父さん「知らんゾー。おまえ片づけたんだべヤー」
タケダ「おれじゃないって。母さんだべか?」
母さん「知らないよー。何処にあったかも知らないもの・・・」
3人 「・・・・・・・・・・・・」
 
その時、突然、母さんが
   「ねずみだわ!ねずみはかぼちゃの種大好物だもの。」
うっそ〜〜ぉ?ねずみなんているのぉ〜〜?
タケダは母さんのその言葉は絶対に真実ではないと思った。
と言うよりは、真実として受け入れられない言葉であった。
 
しかし、種を干してあった周りを探してみると・・・・・
あった!ねずみが半分くらいかじった跡のある、かぼちゃの種が・・・
う・う・うわぁーーーー
タケダの夢を来年につなげようと思っていた、夢の種が、ねずみに食べられたぁ〜〜〜
その時のタケダを一言で言い表すとしたら   ムンクの「さけび」・・・・・
20世紀から21世紀へ夢をつなぐハズのタネをねずみに食われるタケダの人生って、いったい・・・・・・・・・・?
 
本当のシンデレラストーリーでは、ねずみはかぼちゃの馬車を引く、馬に魔法で変わる、シンデレラの見方なんだゾー
こんなノンフィクションのストーリーって、本当にあってもいいの?
 
 
第6話「温泉旅行抽選会」
 
「一粒の種がこんなに大きなかぼちゃになりました。」
「そして今、そのかぼちゃが夢の馬車に変わり、新しいシンデレラの夢物語が始まろうとしています。さあ、夢の温泉旅行を手に入れた方を発表してもらいましょう。」
ステージの上のタケダはマイクを握って抽選会の場を盛り上げた。
そして、実行委員会会長が引いた一枚のカードの番号をアシスタントの女性が読み上げた瞬間、またしても信じられない物語がそこに起きてしまったのである。

それは、記念すべき第10回を迎えたシンデレラ夢’97まつりでの出来事。
10回の節目を記念して、ジャンボかぼちゃコンテスト出品者の中からの温泉旅行ペア一泊ご招待抽選会を企画した。
まつりも近づき、タケダは自宅で当選者に渡す大きな旅行券のレプリカを作っていた。
子供たち「おとうさん、何作ってんの?」
タケダ「かぼちゃをコンテストに持ってきた人の中からくじで当たった人が行ける温泉旅行の旅行券だよ。」
子供たち「えーーー温泉旅行?行けるの?やったぁ!」
タケダ「バーカ!当たるわけないベヨ」
(とは言いながら子供たちの夢を壊してはいけないと思いつつ)
    「まあ、カボチャ出せばなぁ・・・当たるかもョ・・・・」
 
そんな会話をしながら作ったレプリカはなかなかの出来栄えだった。
そして迎えたパンプキンコンテストには前年の2倍の68個のかぼちゃが集まった。
上位10個のかぼちゃの計測が終わって、いよいよ温泉旅行抽選会で、大きなかぼちゃを作った人も小さなかぼちゃしかできなかった人も、視線はステージ上に集中した。
「36番」  アシスタントが番号を発表した。
一瞬会場全体が静まり返った後、一ヶ所が「わあーー」っと歓声を上げた。
 
見ると・・・・・
「やべーー・・・・うちの家族だ・・・・・」
「かみさんと子ども二人が喜び飛び跳ねている・・・・・」
「絶対当たらないと思ってたのに当たったデヤ・・・」
「だってオレ、この企画のイイダシッペで、責任者の班長だべさ・・・」
「その家族に当たっていいわけないっしょ・・・・」「困った〜〜〜」
そして思わず言ってしまった。
「今のなし。今のなし。もう一度引き直します。」
もう何が何だか分からなくなった。
その時、近くにいたタケダの友人の実行委員が、
「いいからもらえって、おまえに当たったんじゃなくて、子どもに当たったんだから。見てみろ、あんなに喜んでるのに・・・・」
 
その言葉に他の実行委員もうなずいてくれた。
と言うことで「じゃあ36番の抽選券を持っている方、どうぞステージの上へ・・・」
しゃべるタケダはもう汗びっしょり。
なんと、自宅で作っていた夢のレプリカは本当にタケダ家に戻ってきて、タケダ家の床の間に飾られることになったのである。
喜んでいいのか悪いのか、当たってしまったのは事実で、結局家族4人と、かぼちゃづくりを手伝ってくれたばあちゃん(タケダのかあさん)の5人での 温泉旅行となったのである。
(もちろん3名分は実費である。)

その前の年の初冬、思いもしない大事故に巻き込まれて、家内と子ども二人が入院。クリスマスもお正月も家族そろって迎えられないという寂しくつらい思いをして、衝撃的な記憶を忘れ去ろうとしていた矢先の「夢物語」だった。
我が家に本当の幸せの灯火が再び蘇ったのは言うまでもない。
色々な出来事を通じて更に深まる家族の絆。
「シンデレラ夢物語」・・・・・タケダは絶対にあると信じています。
 
 

第7話 「行ってきました第15回おおーいでっかいどうカボチャ大会」(H14.9.22)


9月22日に滝川市で開催されたこの大会はジャンボカボチャコンテスト北海道予選大会で、優勝者が次週、香川県小豆島で開催される全国大会へ出品できるのです。

【行くことになったきっかけ】
9月21〜22日が職場、企画財政課の旅行で札幌市へ。
21日は札幌ドームでサッカーJ1リーグ「コンサドーレ札幌」の応援。
夜はススキノで大フィーバー。
そして、22日は札幌でショッピング。正午にテレビ塔下に集合。
午後1時、砂川ハイウエーオアシスで「ジンギスカンに生ビール」の昼食。
こんな日程だったが、タケダは22日午前中、ショッピングするものなど何も無し。

【そこで】
22日におおーいでっかいどうカボチャ大会があることを知っていたタケダは、22日朝、思い切ってJRに飛び乗り、いざ滝川市へ。もちろんタケダ一人。
9時30分、札幌駅から旭川行き特急に乗り、10時25分滝川駅到着。
まずは予定通り。
10時40分、会場行き無料送迎バスが出るのを確認し、駅のキオスクで撮りっきりカメラを購入。
撮りっきりカメラにも色々あって、悩んだ挙句、ちょっと大きめだが一番安い960円のカメラを購入。
無料送迎バスの待合所でカメラを開封。
ところが!カメラだと思って買った960円の代物は、ただの3本入りフイルムだった・・・
バカヤローちゃんと確認しろ!っと、自分に怒って、またキオスクに。
そして、今度は1050円の25枚撮りカメラを購入。
さっきと同じおばさんでちょっと恥ずかしかった。

バスは予定通り10時40分会場へ向けて出発。
バスの中で腕に市役所の腕章をした係員がまつりのチラシをくれた。
係員は市役所の腕章なんかしなくたって、その作業服姿とメガネに7・3分けで充分に係員だってわかる風貌だった。そんなことを思いながら、もらったチラシを見て・・・
「ガーン!!」帰りのバスは午後1時30分会場出発?
いくら滝川市と砂川ハイウエーオアシスが近いったって、これじゃあ1時からのジンギスカンには間に合わない。
どーしよう。滝川駅から会場まではバスで30分。
満員バスの中に座ったタケダは「ドーしよう?いまさら降りるわけにも行かないし・・・」
ま、会場にタクシーが来ているだろう。
もし、タクシーがなかったら、一番近い江部乙駅まで歩くしかない。
会場から江部乙駅まで5、6kmあるかなー?なんて思っているうちに・・・

【会場に着いた】
会場到着11時10分。すぐに会場周辺を見回したが、タクシーはどこにもない。
これで、歩いて帰ること決定。
結構遠かったから・・・江部乙駅まで30分くらいだろうか?そんなわけない・・・
余裕を見て1時間前には帰路につかなければ・・・
自分に言い聞かせて、会場内へ・・・

会場に入ってすぐ、あったあった巨大カボチャがゴロゴロ。
小走りで近づき、北海道知事賞の優勝カボチャは、312.5kg。
優勝常連の芦別市の白井さんだった。
白井さんは400kg以上の記録保持者なので、400kgのカボチャが見れるかと期待したが、今年は天候不順でちょっと小ぶり。それでも312kgのかぼちゃは十分でかい!
タケダが自分の目で見た最大のカボチャは、一昨年のこの大会で見た266kgだから、312kgのかぼちゃは自分の目で見た過去最大のカボチャ。
来た甲斐があった・・・と思いながらも、帰りの時間が気になる。それでも、
巨大かぼちゃの周りでは、たくさんの親子が子供をかぼちゃの前に立たせたり、かぼちゃの上に乗っかって記念写真を撮っていて、タケダもその子供をモデルに写真の撮りまくり。

【本当は】
会場でジャンボカボチャの写真を撮って、滝川名物「松尾ジンギスカン」の串刺しの炭火焼を食べながら、生ビールを飲んでくる。考えただけでよだれが出てくる。
しかし、この予定は歩いて帰ることになったので、夢と消えた。

【帰路に着く】
写真を撮っているときだけは帰りのことなど忘れていたが、すぐ歩いて帰らなければいけない現実に気づき、フリーマーケットでおかあさん(ワイフのこと)のお土産に、かわいい女の子の絵が描いてあるトールペイントの鉛筆立てを買って、いざ出発ーー!!
会場出発11時40分

【北の国から】
一人歩くのは、道端にコスモスが咲き乱れる丘陵地帯の畑の中の農道。目の前には澄み渡った青空にぽっかり白い雲。まぶしい日差しから実を守ってくれるように吹いて来るのは、丘の向こうからのすがすがしい秋の風。
広い大地の中で、時折車は通り過ぎるものの歩いているのは、たしかにタケダ一人。
歩いていくと、道路沿いに「トマト 100円」の看板。無人販売所にビニール袋に入ったうまそうなトマトがあった。ジンギスカンの串刺しと生ビールを飲みそこなったタケダはだんだんと腹が減ってきて、トマトをかじりながらあるくっていうのも悪くないかな・・・なんて思ったが、たくさん食べれるわけでもないし、あまれば邪魔になるのでトマトを買うのはやめたが、
自分で「何か絵になるなー」「オレ、今、ー北の国からーしているよ」
BGM−「北の国から」−
そんなこと、考えて、大自然と同化している自分に酔っていた。

そして、思わず時計を見たら・・・・
「まずーー。」「時間ないわ・・・」「北の国から どころじゃないわ・・・」

【迷い道】
会場行きのバスの窓から何度か曲がる道順は覚えていたはずだった。
ところが、いざ歩いてみると途中までは曲がる道を覚えていたが、そのうち、
「あれ、ここ曲がるんだったけ・・・??」「まずーー」「わからなくなった・・・」
時折車は通り過ぎるけど、車を止めて道を聞く勇気はなし。
農家はぽつん、ぽつんと点在しているけど、時間は昼休み。畑にも家の周りにも人影はなし。「ごめんください」と家まで行って聞く勇気もなし。
家の近くでは犬にほえられ・・・・
「あー周りから見ればオレって変なヤツに見えるんだろうな・・・」
向こうの方に市街地が見えるのであっちが江部乙方面だっていうのはわかるんだけど、こっちの道に行っても行けそう。あっちの道に行っても行けそう。
今、歩いている道は間違いなく、来た道とは違う。
そして、時計を見れば、本当に深刻な事態に・・・・
30分も時間に余裕をもっていたのに、もう全然余裕がなくなっているではないか。

【道を聞く】
あせった。本当にあせった。
「あーオレどうなっちゃうんだべ・・・・」「おれ、ジンギスカン食えるのかな???」
はっきり言って、自分が空腹だということなど、もうすっかり忘れていた。
それどころじゃないんだもの・・・
そのころ、足の裏に異常を感じた。
「まずーーー。足の裏にマメできてる・・・・」
その時、前から一台の車がやってきた。
しかたなく、タケダは車を止めた。運転手は近所の農家のおじさん?的な人だった。
「すみませ〜ん。江部乙駅ってどっちでしょうか?」
おじさん「あっちいって、下に曲がるの」
「ありがとうございました。」
聞いてよかったーーー。おじさんの指差した方向はタケダの歩いている方向とは逆の方向だった。
足は痛いが、小走りに走って、おじさんの言ったところで曲がると、そのずっと先に信号機が見えた。
国道だ。たしかに交通量が多い。大型車も通っている。
やっと、江部乙に着いた。力が湧き上がってきたが、足はだんだんと痛さが増してくる。

【そしてまた思わぬ事態に・・・】
頑張って江部乙市街に着いた。時間12時50分。
オレ、もう1時間以上歩いてる・・・
市街地の歩道を歩きながら、たぶんマイクロバスで砂川ハイウエーオアシスに向かって高速道路を走っているであろう職場の部下に携帯電話を入れる。
呼び出しはするが・・・出ない。「バカヤロー!!携帯電話は携帯してろ!!」
そして、別の同僚に電話。出た。
「どこにいる?」「まだ高速走ってる。」「1時ちょっと遅れる?」 (よかった・・・)
「オレもまだ江部乙だから・・・ちょっと遅れる。」 (ちょっと気持ちに余裕が・・・)
タケダは江部乙駅をひたすら目指した。しかし、JRで滝川まで行こうと思ったが、時間がない。
たぶん駅周辺にはタクシーがあるだろう。
市街地に入ってからだけで1km歩いている。
そして、駅の近くまで来た。
あった。ホントーに夢にまで見たタクシーが・・・
「いいですか?」と聞くと「いいよ」
「あーーーーやっと車に乗れた。」「これで大丈夫だ・・・・」そう思った。
運転手「お客さん。どこまで?」
「あー砂川の子供の国までお願いします。」
注)子供の国は砂川ハイウエーオアシスに隣接して整備されている、高速道路に入らなくても置ける場所。
と言ったら、
運転手「砂川子供の国??」 自身のない声で「どこにあるのさ???」
運転手の言葉。雰囲気。すぐに察して「失敗したーーー」と思った。
「ハイウエーオアシスの反対側の、高速に乗らないでいけるところ。滝川からすぐでしょ!」
運転手「いやぁ・・・そっちの方行ったことないから・・・」
「行ったことないって・・・だって近いショ!!」
運転手「とりあえず行ってみるかい?道に迷って高くつくかも知れないよ・・・」
「オレ、1時間以上道に迷いながら歩いてきたんだわ。車で道に迷うなら、いくら迷ってもいいから、とにかくたのむわ・・・」
まいったナーー変なタクシー乗っちゃったわ・・・ドーするべ・・・
ま、車だから、どっか着くべ・・・
運転手「高速道路に乗るかい?」「それのほうが道わかるから、道に迷うより近道で高速に乗った方が安いかもよ・・・」
「わかった。わかった。それじゃあ、高速乗って・・・」あきれて物も言えない状況だった。

【無事合流】
午後1時15分。砂川ハイウエーオアシスに着いた。
レストラン近くの入り口で同僚に会った。
ちょっとの差で遅れただけだった。
よっかったー。ジンギスカンが食べれて・・・
席について、すぐに口にした生ビール。
実に「北海道の大地」の味がしてうまかった・・・・

そして、それまでの珍道中をみんなに話した。
タケダはみんなに笑われた。

約7kmも歩くというドラマチックな経験をしながら撮ってきた312.5kgのかぼちゃの写真。
タケダの汗と涙を思い浮かべながらご覧になってください。


    
第8話 「65%」  (2003.10.4) 
   
16回を向かえ、だんだんと歴史を刻み込み始め、毎年新しい伝説も生まれ始めたシンデレラ夢まつり。
近年の低温も何のそので、毎年のように記録が塗り替えられていたが、果たして今年は・・・・と、まつりが近づいてくると夢が大きくふくらんでくるのと反比例して、成功させなければ・・・というプレッシャーも抱えながらまつりを迎えているのが本音です。

そして、まつり前日の午後3時。カボチャの重さを量るデジタル秤の電池を入れ替えていると、150kgまで量れるデジタル秤2個のうちの一つの液晶画面が表示にならない。
実行委員会で所有している150キロデジタル秤2個(これで300kgまで量れる)のうち1個が壊れてしまった。
「参ったなーーー今更修理にも出せないし・・・」
「いくら今年が寒かったからと言っても・・・この間、電話をくれた星野さんは、2週間ほど前で180キロはあるだろう・・・って言ってたし・・・・」
すぐさま、秤を探すこととなった。

そういえば、何週間か前に、実行委員会の事務局員でJA資材課のムロイさんから「150キロ量れる秤あるけど使うかぁ・・・」って電話が来たのを思いだした。その時は「何言ってんの、何年か前にオタク(資材課)から2個目の秤買ったショ・・・」なんて言ってたけど、まさかこんなことになるとは・・・・と、早速、ムロイさんに借用の承諾を取ってもらい、すぐさまJA資材課へ。
「オレって意外とついてるな〜〜」なんて鼻歌まじりだった。
そして、JAの秤を見たとき・・・「ん・・・・・ちょっと小ぶりだな、この秤。」
「何、この75kgって表示・・・・」
「うそーーーこの秤、75キロまでしか量れないじゃないかヨーーーー」
「ムロイさん、何見てんのヨ・・・」「頼むっテ・・・・」
まあ、無いよりはいいか・・・と言う思いで一応借りてきた・・・・
実行委員会所有秤「150kg」 JA所有秤「75kg」 合計で225kgまでは量れることとなった。

しかし、しかーーしである・・・
一昨年に作られた記録は211.8kg。もしこれを上回るようなカボチャが出品されてきたら・・・・「量れません、アハハ・・・」と言う訳にはいかない・・・・
町内の運送会社に聞いてみたら「ウチのも壊れてる・・・・」
大柄な生徒のいる学校にも電話をかけてみたが「ない。」
225kgでも大丈夫かな・・・?と思いつつも、不安でいっぱい・・・・
時間ももう3時半を過ぎているし・・・・
ダメもとで、祭りの準備はおおむね終了し、本部席のテントの中でタムろっている実行委員に向かって言ってみた。
「だれか大きな秤持っている職場知らなーい?」
そうすると、漁業をやっている、もう一人のムロイさんが、「ハカリ?家にあるぞ。何キロ量れればいいのヨ・・・」「150キロ?それぐらい量れると思ったな。」「だけど、高さ合うベか・・・?」
すぐさま実行委員会の秤を見てもらうと・・・「同じだわ・・・・」
ピンポーン!!「ムロイさん!行こーー!すぐに取りに行こーー!」
タケダはもう一人のムロイさんを乗せて車を走らせた。片道20キロほどの距離が実に軽快に早く感じた。
「オレって、まだついてる・・・・」そう思った。
そして、浜の倉庫に着いて、150キロ秤とご対面〜〜〜。
し・か・し・・・・・・・「アレ・・・・どっか違う・・・」
そして、目に付いた「60」の数字・・・・・
「ムロイさん、このハ・カ・リ・・・60キロまでしか量れないよ・・・・」タケダの言った言葉はいつもよりずーと低いトーンだった。
「あれっ・・・そう言えば、あまり重たいもの量ったことなかったからナァ・・・・・アハハ・・・」
(アハハじゃネーーーよ・・・)
秤三つ足して・・・285kg。何とかなるか???それよりも三つ足してなんて量れるの???
とりあえず、ないよりはマシ。60キロ秤を持ってきた。
会場までの帰路、
タケダ「ムロイさん、オレの今の満足度・・・・65%・・・」
ムロイさん「アハハ・・・・65%???アハハ・・・」
(ホントーに、アハハじゃないって・・・・まあ、三つ使うことはないとは思うけど・・・・)

そして迎えたパンプキンコンテスト。
ユニック付のトラックで どでかいかぼちゃが運ばれてきた。
始めは150キロ秤と75キロ秤に板を渡して、2個の秤で量ろうとした。
しかし、計測不能。
そして、使わないだろうと思って、近くの車庫にしまっておいた「60キロ」秤を取ってきた。
しかし、3個の秤で量るのは未知への挑戦。量れるという自信はもちつつも、一つの秤に最大計測可能重量以上の加重がかかるとエラー表示になってしまうので、9人の実行委員が三つの秤に渡した板の上を微妙にカボチャを移動させ・・・・
刻々と過ぎる時間。記録はまだ出ない。
たくさんの観衆の前。「量れなかったらドーしよう・・・」と言う思いが大きくなって「この場から消えてしまいたい・・・」と思ってもマイクを握る顔は平静を装って・・・・
その時、観衆の最前列から・・・「そんなんで量れないって!」ドキッとしてその声に振り向くと・・・
見慣れたその顔は・・・「父さんだ!」「タケダのオヤジだヨ・・・」
(何言ってんのよ!!息子が大ピンチだっていうのに・・・)
こういう時、身内から忠告をあびるっていうのは無性ーーに腹が立つ・・・・
しかし、観衆の前で顔はニコニコ、ニコニコ・・・
心の中で冷や汗をかきながらも、祈るような気持ちで、アシスタントの大月さんとツナギの会話。

そして・・・秤の周りで、実行委員のシゲが計算機をたたき出した。
ついに出た。記録が出た。
「さあ、アシスタントの大月さんに記録を発表してもらいます。」ホッとした思いのしゃべりだった。
「記録・・・・229kg」
シンデレラ夢まつりの新記録となる重さのアナウンスに、会場から「オーーーー」の歓声が・・・・

2個で量れないわけだ・・・それにしても3個の秤の登場になるとは・・・・
雲ひとつない青空の下での第16回パンプキンコンテスト。
今年もまた、「9人の力自慢の実行委員が3個の秤を使っての新記録カボチャ計測」という新しい伝説が生まれ、大成功に終わった。
結果的には「無いよりはマシ・・・で持ってきた60キロ秤」がまつりを救ってくれた。
コンテストが終わって、本部席テントの中で一気に飲み干した生ビールの味は「65%の満足度が120%にアップした」最高の味がした。
それにしても・・・・
自分の使っている秤の能力を全然把握していない「二人のムロイさん」って、いったい・・・・

 


第9話「興奮いまだ冷めやらず」 (2005.11.26)
  
秋を告げる青空が天高く澄み渡り、今年もまたシンデレラ夢2005の朝を迎えた。
朝7時。前夜祭の興奮が嘘のように静まり返ったままの会場で、タケダは一人、記念写真撮影コーナーのディスプレイ用のカラフルなかぼちゃの飾り付けをしていた。
すると、そこへ1台の大型のワゴン車が。車体の側面にはパンプキンのイラストに、何やら横文字をアーチ型に書き入れてある。しかも、札幌ナンバーの車で遠くからやって来たのは間違いないよう。

何だ?会場内でグッズでも売らせてほしいとやって来たイベント屋か?準備をする手を止めてタケダはしばらく車の方を見続けていた。向こうもずっとこっちを見ている…
すると、車の運転席の窓が開いた。そして、色黒の男性が話し出した。
「タケダさん。ホームページ見ているよ…」
『エ!!!!』(誰だ!!この人は一体…)
「シライです。」
「シライ……??」(どこの…)
『グェ!!!!!!!!!』
『あ・あ・あ…芦別市の…し・し・し…白井さんですか?』(声が裏返った。)
(そーーだ!確かにそーだ!北海道新聞で見たことのある、その新聞の切り抜きをホームページに掲示してある写真の、まさしく「その人」だ!)
驚きに体が固まるとはまさしくこのこと。座って作業していたタケダは一瞬にして立ち上がり、直立不動になった。

1998年にジャンボかぼちゃの世界新記録を樹立した、そして、ジャンボかぼちゃ愛好者で知らない人はいない、タケダがかつて、120kgのジャンボかぼちゃを作ることができたのも、世界新記録かぼちゃの作り方の記事を参考にすることができたから。
そんな夢のような存在の白井昭二さんが、今、タケダの目の前にいる。
感動だとか感激だとか、そんな言葉の表現では表しようがないくらいの衝撃。
オ・オ・オレ、どうしよう……
そして、その夢のような白井さんから「ホームページ見ているよ…」だなんて声をかけられた…

白井さんは車のドアを開け、ニコニコしながらタケダのそばへ歩み寄ってきた。
タネの申し込みはしていないが、パンプキンらんどサロマのホームページを見てコンテストのことを知り、朝4時に芦別市を出発してきた話、滝川市のコンテストの話、全国大会の話など話が弾んだように思うが、あまりの驚きに、話の内容をしっかりと覚えていない。
すると、白井さんが
「忙しいんでしょう。手伝うよ。何でも言って。」
いやいやいや、白井さんに手伝ってもらうなんて、そんなそんなそんな…恐れ多くて、とてもとてもとても…
「車の方で休んでいてください。」と言うのがやっとだった…
それでも白井さんはかぼちゃの入ったコンテナを車から降ろすのを手伝ってくれた。

仕事をしながら、「大きなかぼちゃを持ってきたんですか、300キロぐらいの…」とタケダが話しかけると、「んんん…300キロはあるね…」
あっさりと言われてしまった。
やばい!
去年、これだけ量れれば大丈夫だと思って買ってもらった「ハカリ」の限度が300kg。
たった1年記録を出せただけで、2年目にして、予備の150kgハカリと合わせて計測しなければならない羽目に陥りそうだ…だけど、二つのハカリは形状が違うし、果たして計測台の高さを合わせることができるだろうか…
またしても不安をかかえての幕開けとなった。

そして、8時半、パンプキンコンテストの受付が始まった。
例年同様、シンデレラ夢まつり会場へ通じる道路にジャンボかぼちゃを積んだ車が長い列を作った。
力自慢の実行委員が次々とジャンボかぼちゃを運び出し、30分ほどが過ぎたとき、白井さんのかぼちゃの受付となった。
ワゴン車の後ろのドアを開けて目にした物は、荷台一杯の大きさで存在している、まるで大きな岩のようなジャンボかぼちゃだった。
さすがは白井さん。ワゴン車の荷台にはローラーをつけたスロープを装備してあり、車の後ろにフォークリフトを寄せると軽々とかぼちゃを運び出すことはできたが…確かにデカイ!
まつりを訪れた人の目を釘付けにしたのは確かだった。

パンプキンコンテスト重量ベスト10カボチャの本選計測もいよいよ最後の1個。司会進行のタケダもマイクを握る手に力がこもる。
巨大カボチャの下には高さを合わせてコンパネを渡した、300キロ秤と150キロ秤の二つの秤が。
そして、一昨年まで毎年見ていた光景、実行委員のシゲがそれぞれの秤の重量を計算機で足している。
記録が出た。
「記録・・・361.1kg」アシスタントが発表したとたん、会場から大きな歓声とため息が…
見事な、今までの記録を80kgも上回る、ぶっちぎりの新記録の誕生だ。
「どうしたら大きなカボチャが出来るのか?」という新記録達成のインタビューに、白井さんは「種を植えたらできるんですよ。」と涼しい顔。
さすがは白井さんだ…

興奮に包まれたまま、シンデレラ夢2005パンプキンコンテストは無事に終わった。
それからしばらくして、ある新聞に香川県小豆島で開催された「日本一どでカボチャ大会」の記事を目にした。
日本一のジャンボカボチャの記録は299.4kg。
白井さんは参加しなかったのである。
ということは…事実上、今年のジャンボカボチャ日本一を記録したのはサロマシンデレラ夢2005まつりということだ。

今年はどんな夢物語が…と思っていた矢先、まさかこんな展開に…なんて、本当に夢にも思わなかった白井さんとの出会い。
もうこれ以上の夢物語は無いと思う。たぶん…